「成功の代償」草津温泉、過剰インフラが招く“静かな破綻”へのカウントダウン

日本一の名湯として知られる草津温泉、入り込み客400万人に達し、空前の成功を収めている。連日、湯畑周辺を埋め尽くす観光客の笑顔の裏で、実は今、極めて深刻な構造的危機に直面している。
それは、華やかな「攻めの整備」の影で私たちが目を背け続けてきた、人口減少という現実への敗北が生んだ歪みだ。黒岩政権が進めた積極的なインフラ整備が真綿のように首を絞める。
前町長・黒岩信忠氏の時代、草津は驚異的なスピードで姿を変えた。湯治広場の整備、『御座之湯』の再建、裏草津の開発、そして14億円もの巨費を投じた温泉門。草津ブランドの名のもとに確かに観光客を呼び戻し、ブランド価値を押し上げた。
だがしかし、これらの豪華なインフラは、完成した瞬間から「逃れられない未来の負債」へと姿を変えていく。石畳の一枚、足湯のポンプ一台に至るまで、莫大な人件費と光熱費がかかり続け、壊れれば直し、古くなれば更新しなければならない。成功すればするほど、町が背負う「維持コスト」という鎖は、より太く、重くなっていくのだ。
- 人口動態の絶望的なシミュレーション
今、この巨大なインフラを支える土台は、すでに修復不可能なほど揺らいでいる。人口減少に歯止めをかけられなかった「ツケ」が、具体的な数字となって町を追い詰めている。
現在約6,000人規模の草津の人口が2050年には約3,700人へ(約40%減少)という人口動態のシミュレーションが町から発表されている。生産年齢人口(労働力)も約3,100人から約1,600人へ(約50%減少)という試算もある。
ここが草津の致命的なポイントだ。わずか1,600人の働き手で、年間数百万人を受け入れるための「過剰なインフラ」を維持しなければならない。支える「手」が半分に減る一方で、維持すべき「物」は減らせない。このミスマッチは、一人あたりの負担を1.5倍、2倍へと押し上げる。増税、公共サービスの劣化、そして維持しきれなくなった施設の放置。「成功の象徴」が「負の遺産」へ変わる日は、統計学的に見て避けることのできない未来だ。入り込み客400万人突破!と威勢の良い言葉を喧伝しながら、実は町民に負担を強いる政策を続けたのは実に皮肉な結果である。 - 現場で進行する「ゆっくりとした腐食」
「店が開けられない」「施設が回らない」。
現場で起きているこれらの現象は、一過性の問題ではない。「身の丈に合わないインフラ」を「枯渇した労働力」で支えようとして生じている、システムの破綻だ。どれほど観光客を呼び込もうとも、それを支える町民がいなければ、観光地としての機能は維持できない。インフラ維持費が財政を圧迫し、更新を先送りすればするほど、町は老朽化し、魅力は剥げ落ちていく。私たちが目にしているのは、華やかな成功の直後に訪れる逃げ場のない“ゆっくりとした衰退”の始まりなのだ。
- 解決策という名の「最後のあがき」
今さら「縮小」しようにも、一度作ったインフラを畳むには、作る以上のコストと痛みが伴う。もはや、残された道は険しいものばかりです。具体的にはインフラの稼働率を最大化する短期的な観光だけでなく、長期滞在を促進し、常に人が居る状態を作る。派遣社員、外国人労働に頼るのは短期的に見ては効果があろうが、流動性の高さ、賃金の低さからくる税収の伸び鈍化など負の側面も大きく将来的な人口増にはふさわしい解決策とは言い難い。
「観光客」を「関係人口」へ一度きりの客を増やすのではなく、何度も訪れるファン、あるいは「半分住んでいる」ような滞在者を増やし、定住への流れをデザインする。空き資産(リゾートマンション等)の実需化町内に存在する膨大なマンション資産を、単なる所有物から「活きた住まい」へと変えていく。
一方で、長期滞在への転換を掲げても全国的な労働力不足の中で手厚いサービスを維持できるのか?負担増が目に見えている町に、あえて移住する者がどれだけいるのか?マンション資産の活用とはいっても老朽化する巨大建築群を管理しきれるのか? といった課題も見えてくる。 - 成功という名の「毒」をどう飲むか。 草津町は成功、成功と連呼してきたが、その成功は人口対策という根本的な課題を先送りにしてきた結果、「維持不能なほど巨大化した自己矛盾」を生み出した。これから必要なのは、新しい“箱もの”を作ることではなく「身の丈を超えた成功」がもたらしたこの重すぎる荷物を、どうやって最小限の被害で次世代に受け渡すかである。
結局のところ問われているのは、観光客数でも、売り上げでもなく「私たちの草津町が100年先にも維持できるのか」という極めて単純かつ最も重い問いである。かつて草津は、“日本一の温泉地をつくる”という明確な成功モデルを目指し、それを実現してきた。だが、その成功は別の問いを突き付けている。この成功が100年先にも耐えうる設計だったのか?、もし答えが「否」であるならば、今見えている繁栄は単なる幻想に過ぎない。むしろ皮肉なことに最も成功した瞬間こそが、最も危うい瞬間なのかもしれない。


同感です。観光客が増えても移住定住の人々が増えないと消滅自治体になることは避けられないでしょう。
新店舗の出店が目立ちますが、外国人が目立ち、人手が確保できないと開けられない店もよく目にします。
移住してきても、定住にならず入れ替わりが激しいとも風の噂で聞きます。
空き家もたくさんありますね。
本当に驚きです。
歴史を壊し、旅館集客のための「今だけ良ければ開発」に集中した草津町はディズニーランド化したように思います。後は話題性を求めて、破綻するまでさらに増やし続けるか、維持するために増税するしかない。客足は増えても、流行に流されているだけで不況や政情で客足は遠のくでしょう。歴史や一般町民を大切にしない草津町の風土が残念です。回覧板をみた限り、地方自治もかなり歪みが現れてきているのは、自己保身の税金生活議員が多すぎる所以かも知れませんね。負の維持が外国人頼みになった時、または湯量減少が顕著になった時に草津町は終わるのかも知れませんね。
危惧しているのは、人口が減った時、切り捨てられる町民が出ること。弱いものから淘汰されていく社会は健全ではありません。自己の利益を代表する議員という考えを捨てる議員が必要と考えます。もちろん
草津の歴史もないがしろにしません。先人の遺産を継承しつつ声を出せないでいる町民にも手当をしてく必要があると考えます。
抽象過ぎて、僕にはよく分かりません。なんとなく言いたいことは分かるけど、どこの施設がどう維持難しくなるのですか?
おそらくですが、コンサートホールやバスターミナル、大滝の湯など浴場施設で築30年ほど経つものから見直しが進むんじゃないでしょうか?どれもリフォームのコストと維持費、人件費が莫大です。
バスターミナルも切符売り場がなくなって、ネット購入か券売機のみの対応にかわったと聞きました。便利になったのか、慣れ親しんだ人からは不便になったのか?
将来にわたり、今ある施設全判に維持費が上がります。最もコストが上がるのが温泉施設です。一例をあげるなら温泉門では温泉供給配管、施設維持、凍結防止機能の劣化防止などで確実にコストが上がります。
なぜかといえば、常時稼働が前提で短期的な修繕が必要、温泉を扱うということで技術者不足からコストが上がることも見込まれます。
人口が減少するのにコスト増では、構造的に負担が大きくなるのは目に見えています。